映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-

special

武本康弘監督インタビュー
とにかく思いっきりピュアッピュアに、
みずみずしく描きたいと思っています!

――[Free!][Free!-Eternal Summer-]に続く[映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-]ですが、この作品はどのような作品になりますか?

『Free!』の延長線上というか、やっぱりどこまでも『Free!』ですね。この作品に注目してくださっているのは『Free!』ファンの方が多いと思うので、その方々に「観てよかった!」と思っていただけるような作品にしたいと思っています。『映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-』と『Free!』は同じ世界観の中に続いている物語だと考えています。

――映像として表現する上で、どのようなイメージをもって臨まれていますか?

映像の面でもやはり『Free!』の表現と変わらないものにしようと思っています。ですが『Free!』にあったコメディ色の強い、漫画的な表現などは今回の『映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-』では極力使用しない方向で考えています。『Free!』ファンに加え、多くの方々にも楽しんでいただけるような作品にしたいので匙加減の難しさは感じています。
ただ、キャラクターそのものを大きく変えることはしないつもりです。とにかく思いっきりピュアッピュアに、みずみずしく描きたいと思っています!

――「あわいの時代」「その瞬間にしか無い輝き」を描きたいとコメント頂いていますが、その時期の少年たちにある、武本監督が魅力的だと思うポイントを語ってください!

先ほどもお話した通り、ピュアさですね。それを究極まで突き詰めて描きたいです。突き詰めていく中で、中学生ならではの彼らの魅力が出てくるといいなと思いますね。

――中学生と高校生という違いは大きいですよね。武本監督は中学生ならではの「青春」を大事にされている印象を受けました。

「青春」というよりも、もっと幼くてもっとまぶしいものじゃないかな。「青春」という言葉が当てはまるのは、年齢的にもう少し上のような気がしていて。それよりも更に若くてみずみずしくて、青春に満たないくらいの青さという方が彼らには合っているように思います。

――青春の直前の輝きみたいなものが遙たちにある、と。

今回はたまたま遙たちにスポットが当たっていますが、彼らだけでなく、その輝きはきっと誰もが持っているものだと思います。

自分の考えを貫く姿勢はちょっと羨ましいなと思います。

――輝きを放つ4人のキャラクターたちについて、ぜひ魅力を語ってください!それぞれの見どころもお願いします。

魅力というものを端的に伝えるのはなかなか難しいですが、普段から彼らの人格を最大限尊敬して、その人格に寄り添って考えていくことを大事にしています。それを考えながら、きっとこの子はこうだろうと思って動かしていくことが多いですね。
遙の魅力は一本筋が通っているところでしょうか。相手が誰でも臆さないところはすごい。遙はこの時点である程度人格が完成している気がします。コミュニケーションを取るのがあまり好きではないタイプなのでその面では未熟とも取れるけど、自分自身の意志やポリシーが確立しているが故の、人に対する達観した態度かなと。自分の考えを貫く姿勢はちょっと羨ましいなと思います。

――そんな遙ですが、相手を拒絶しているわけではないですよね。受け皿はきちんと持っているというか。

そうですね。そこは遙のいいところかなと。

――遙の見どころというと?

新しいメンバーとの関わりを通じて、遙自身の気持ちがどう動いていくのかというところでしょうか。

真琴は変化というよりは、
どちらかというと「揺れ」かなと思っています。

――では次に、真琴についてお願いします。

真琴は奥が深いというか、難しいですね。いいやつだろうなと言うのはすごく思うんですが、捕まえようとするとスルリと逃げていってしまう感じがして……困った。

――すり抜けていかれちゃったんですか?

結局まだ捕まえられてない。真琴は未だに分からない部分がありますね。いいやつなんだろうということは分かるんですが……!

――遙も中学生になることで色々と変化していく部分があるかと思うんですが、それ以上に真琴の変化が大きいように思いました。監督としてはいかがですか?

個人的には、4人の中で変化が一番大きいのは遙かなと思っていました。やっぱり主人公なので、一番丁寧に追いかけて描写もしているし。だからといって他をおろそかにしているわけでは決してないですが。
真琴は変化というよりは、どちらかというと「揺れ」かなと思っています。揺れ動いているその先にどんな答えを見つけるのか?というのが、この作品の中での真琴の見どころですね。

旭がいないと物事が動いていかないところもあって、
いいエンジンのような役割をしてくれているなと思います。

――では次に、映像では今作が初登場になる旭と郁弥についてお願いします。まずは旭の魅力はどんな所ですか?

やっぱりバカなところかな!分かりやすいし。旭はバカかわいいやつですね。

――そんな旭も、思い悩んでいる場面などもありましたが。

旭の悩みやトラウマについては原作小説からではあるんですが、それをこの映画に持ってきたときに、それらの問題をどうすれば解決してあげられるのかとか、その解決についてメンバーの中で誰がどんな風に関わって助けになってあげられるのかというところはシナリオ制作の段階でかなり知恵を絞った部分ですね。
自分の思いをハッキリ相手に伝えることが上手くない人ばっかりなので、旭がいないと物事が動いていかないところもあって、いいエンジンのような役割をしてくれているなと思います。有難い!
率先して状況を動かすというか、ブレイクスルーしてくれる旭がいて、それが他の3人にも影響を与えることがあって、逆に旭が行き詰った時には他の3人が旭に影響を与えて……という与え合いの中で旭がどう立ち直っていくのかというのが見どころでしょうか。

郁弥の影を帯びた危うさ、線の細さみたいなところが
個人的には好きですね。

――では次に郁弥についてお願いします。

郁弥は構想段階では原作とは全く違う性格にすることも考えていたんです。結果的にはそうはしなかったので、最初に想定していたのとはずいぶん違う子になりましたね。でも、おかげで郁弥と他のメンバーとのやり取りなんかはすごくよくなったので、今の形になってよかったと思います。4人の中で、ヒネた性格って郁弥だけなんですよね。ひねくれ者というか、チクチクやる性格の郁弥がいることによって、会話にもより面白味が出るようになりました。例えば旭と絡んだりすると、面白く可愛らしくなっていて。

――正反対に見える旭と郁弥ですが、ウマが合いそうな感じがしますね。

そうですね、実は仲は良いと思いますよ。

――郁弥もひねくれてはいても、純粋な部分があるんでしょうね。

純粋さはあります。これは郁弥だけでなく、4人ともに言えることですが。

――そんな郁弥の魅力というと?

ひねくれ者が持つ影の部分というか、郁弥の影を帯びた危うさ、線の細さみたいなところが個人的には好きですね。佇まいとして、繊細そうな感じというか。映画を観て下さった方にも好きになってもらえるといいなと思います。

――郁弥の見どころは?

遙の見どころと少し似てしまいますが、新しいメンバーに対してどういう気持ちを持つのか、ヒネた郁弥がどう変わっていくか、というところでしょうか。

4人が仲間としてどうあってほしいのかというところを
とにかく大事にしました。

――新しいメンバーである旭・郁弥のデザイン的な面でのお話を伺いたいと思います。こだわりポイントなどを語ってください!

基本的には小説『ハイ☆スピード!2』の挿絵イラストをベースにしました。そちらですでにデザインとしては完成しているように思ったので。中でも旭は一番すんなり決まりましたね。

――遙たちの制服の着こなしについて、悩まれていたと伺いましたが?

色々と女性スタッフからも意見を聞きつつ決めていきましたね。旭が学ランの前を開けてるのはアリなのか?とか。並んだ時のバランスも大事ですし。4人が仲間としてどうあってほしいのかというところをとにかく大事にしました。中に着ているものはカッターシャツがいいのか、Tシャツがいいのかとか。1年生なのにこんなに着崩してていいの?なんて話もあったり。

――デザイン的な面で、旭の一押しポイントがあれば教えてください。

旭は動いて声が付いたときに初めてその魅力が全開になるキャラかなと思うんですよね。イラスト一枚ではなかなか旭の魅力は伝わりにくいような気がしています。表情が豊かなので、やっぱり動いて喋って、というのが合わさった状態が一番魅力的かなと。

――郁弥についてはいかがですか?

小説『ハイ☆スピード!2』の挿絵イラストでは片目が隠れていたんですが、両目とも見せたいなと思ってそこを少し変えました。その方が幼さも出せると思ったので。郁弥に限らずですが、かわいらしさが欲しかったんです。
旭とは対照的に、郁弥はイラストの段階でも佇まいや雰囲気が伝わってくるキャラですね。

――キャラそれぞれの個性が今の段階から出ているということでしょうか。

そうだといいなと思いますね。

前後を『Free!』に挟まれた
『ハイ☆スピード!』をどう作るか。

――この作品で表現や映像面で挑戦してみたいことや、楽しみにしていること、描きたい1シーンなどはありますか?

映像的な面でも『Free!』にどう近づけていけるか、ファンの方に楽しんでいただけるかというのはある意味挑戦かもしれません。新しいことをやるというよりは、『Free!』の世界観を愛してくださっている方々にそのままの気持ちで観て楽しんでいただけるようにしていきたいです。TVシリーズとのギャップがないようにというところはしっかり守っていきたいですね。

――『Free!』という物語に寄り添って、作品作りをされているということですね。

中学時代の彼らの物語を、驚きであったり、共感であったり、いかに中学生の彼らに違和感なく接して頂けるか、いかに中学生の彼らをみなさまにお届け出来るか。
前後を『Free!』に挟まれた『ハイ☆スピード!』をどう作るか。全てを含んだひとつの世界であることを踏まえた上で、しっかりとその時代を描いていきたいと思います。

――最後に、皆さんにメッセージをお願いします!

現在、鋭意制作中です。よければぜひ観に来てください!

――ありがとうございました!